登山用語100+α
一般登山用語
- アプローチ
目的の登山口、ルートの取付点までをいう、最近は林道等の整備で短くなりつつある
- アルピニズム
スポーツとしての登山の心で、今は一層スポーツ性を求めている
- エスケープルート
悪天候や体調の崩れた場合に備えて、すぐに下山できる安易なルートのこと
- 概念図
地形図より顕著な尾根や沢をピックアップし、山域の全体像を理解しやすく表現した図
- グリセード
氷雪の急斜面を登山靴のかかとやピッケルを使って制動滑降すること
- ケルン
河原のように登山道が分かりにくい場所で、正しい登山路を示す指導標的な意味のある石を積んだ目印
- 山岳ガイド
山岳ガイドは登山の歴史とともに発展しており、今は組織化され、欧州アルプスを手本とし日本に合った形態になりつつある
- 単独行
文字通り一人で山に登るスタイル。ただし、不測の事態に直面した場合、最悪の結果になりかねない危険をはらんでいる
- 地形図
土地の景況をできるだけありのままに、1/50000以下の縮尺で平面上に表現した地図。国土地理院が発行
- 登山計画書
登山計画はパーティーとしての力にあった適正な計画をたて、必要項目を満たし入山地に送るか提出する。留守本部、家族にも必ず置く
- 011:登山条例
登山者に登山届提出を義務付けた富山県剣地区の届出条例、群馬県谷川岳の遭難防止条例がある
- トラバース
壁や斜面を横切ること
- 日本百名山
深田久弥が1500m以上の山の品格、歴史、個性などからまとめたもので、100座を目標にする登山者は多い
- パーティー
目的の山を目指して、楽しく安全な登山を行うために結成された少人数の山仲間。リーダーシップとメンバーシップが大切
- パッキング
軽いものは下、重いものは中程、上は使用頻度の高いもの入れ、左右のバランスを取る。防水にも注意
- ピーク・ハンター
山の頂上を踏むことだけを、主な目的とした登山をする人
- ビバーク
緊急の野宿、露営
- 踏み跡
人工の道でなく、登山者などの往来によって生じた不明りょうながら通行のできる道
- ルートファンディング
登路をさがし求めること
安全な登山
- 救急蘇生法
疾病や外傷により突然に意識障害、呼吸停止、心停止になったときや大出血の負傷者を救命するための救命手当をいう
- 高山病
登山により気圧や気温が急激に変化するとホメオスタシスが応じきれず種々の症状が出現することをいう。頭痛、吐き気、むくみなど。死にいたることもある
- 山岳保険
遭難事故の捜索や救助には多大な費用がかかる。その負担を軽減するための保険の加入は入山の条件である
- 弱層テスト
雪崩の原因となる弱層の形成を知るための方法。簡単な方法のハンドテストをマスターしたい
- セルフレスキュー
登山での最悪の事態を想定し対処する技術を身につけ、遭難者の救出や自分自身が無事生還するよう行動すること
- 低体温症
心臓などを中心とした生命活動に必要なコア部の温度が36℃より低くなると症状が出る。重いと昏睡状態から心停止に至る
- 二重遭難
遭難の救助に当たっている人々がさらに遭難すること
- 熱中症
暑熱環境で発生する障害の総称で、熱いところでの無理な登山は控え環境条件に応じた行動、休憩、水分補給が必要
登山のバリエーション
- 草つき
沢の源頭部や岩場の傾斜が強いが、草が生えているようなところ
- 高巻き
滝やゴルジュなどの通過困難なところを避け、巻き道などを使って通過すること
- ブッシュ
灌木帯のこと。ヤブとも言う
- へつり
沢の流れ際の岩場をトラバース、または通過すること
- ヤブこぎ
密度の濃いブッシュ帯を、かき分けて進むこと
- アイスクライミング
氷壁登攀のことで専用の器具を効かせて登る
- アプザイレン
懸垂下降のこと。支点から垂らしたロープをつたって壁面を降りていく下降法。ハーネスやカラビナを使う
- 確保(ビレイ)
ザイルを使ってパートナーの転滑落を防ぐこと
- キックステップ
雪渓や雪面を歩く際、靴の重さを利用し、つま先をけり込みながら歩くこと
- グレード
登攀難度の分類で、おおむね1級~6級分けられている。クライミング技術が発展してきた現在は7級、8級まである
- 三点確保
岩場での基本動作のこと。両手両足4点のうち1点だけを動かすことにより安定したバランスが保てる
- スタンディング・アックス・ビレイ
雪上で十分な支点が得られない時、威力を発揮する確保方法
- スポーツクライミング
安全を前提に人工壁、ゲレンデなどでフリークライミングで登ること
- 八の字結び
フィギュアエイト・ノット結びのことで、ハーネスにロープを装着する最良の結び方
- ピッチ
岩場でザイルを結びあって登る際の、ひとつの確保点から次の確保点までの区間
- ラッセル
雪をかき分けて進むこと
- リード
クライミングで、トップロープなしでトップを登ること
- クロスカントリースキー
ノルディック競技に使われるスキーで、ブーツも軽く軽快だがコースを滑走するので、雪山には適さない
- シール登高
スキーに後すべりを防ぐためのシールを着けての登高をいう
- テレマークスキー
山スキーと異なるのは、締め具にかかとの固定がなく、クロカンとアルペンの中間的なもの
- 山スキー
アルペンスキーとも言われゲレンデスキーから発展した。シールを着けて登高するため締め具のかかとが開放できる
- 極地法
大規模な登山を安全に成功するよう必要に応じた前進キャンプを次々に設け、目標に到達する方法
- 高所順応
高所環境での気圧低下の度合いがゆっくりであるとか、繰り返すと人体は慣れ高山病を起こさなくなる。これが高所順応である
登山用具
- アイゼン
氷雪登山時に靴に取り付け使用する。爪(ツアッケ)の本数、長さ、材質は自分の技術と山行内容によって選ぶ
- カラビナ
一カ所がバネで内側に開閉する金属製の環。ハーケン(ピトン)とロープの連結など登攀には欠かせない用具
- コッへル(クッカー)
炊事セット。軽く強い設計でパッキングしやすいセットになっていなければならない
- シュラフ
寝袋のこと
- 速乾性保温素材
保温性がよく速乾性があるので上下の下着に適す化学繊維
- ゾンデ
雪崩に巻き込まれて雪の中に埋まった人を捜索するための細長い棒
- ツエルト
不時露営などの非常時に使われる簡易テント
- 透湿性防水素材
いわゆるゴアテックスと呼ばれているもので、防水性がよく蒸れない素材で雨具などに適す
- トレッキングポール
登山用杖
- 雪崩ビーコン
雪崩に巻き込まれた人を発見するための電波送受信機。アナログとデジタルがある。ビーコン、ゾンデ、スコップは冬山必携品
- ハーケン(ピトン)
岩の割れ目に打ち込んで使う登攀用具
- ハーネス
パートナーとザイルで結ぶとき、墜落時の大きな衝撃に十分耐えられるベルトをいい、腰式が一般的になっている
- バイル
氷壁登攀でピッケルのブレード部がハンマーになっている。ピックはバナナスタイルが使用上安定感がある
- ピッケル
氷雪登山での必需品で山行内容でシャフトの長さやピックのデザインを区別する
- ファーストエイドキット
救急医療用セット。三角巾、包帯、バンドエイド、テーピングテープ、レスキューシート、ハサミ、薬品など
- ザイル
登山用のロープで信頼性が求められる。9mm以上は安全基準が設けられている
- わかん(スノーシュー)
昔から雪国の猟師に使われていたもので、深雪地帯をある程度潜らずに歩行できる。近年外国製のものに変わりつつある
山の気象
068:雲海
山の頂きから、海面のように広がって見える雲
069:エビノシッポ
高山の岩にはりつく霧氷の一種で、その形がエビのしっぽを思わせる。風上の方向へ成長する
070:ガス
山でできる霧の俗称。ガスに巻かれた時は地形判断を誤らぬ注意が大切
071:雷
上空に冷たい空気が入り大気が不安定な時に発生しやすい。雷に遭ったら岩陰に避難するなど体を低くすること
072:観天望気
雲の動きや風の吹き方などによって天気を予測する。天気図との併用で局地的な予報に役立つ
073:クラスト
雪面が風や日射などの影響によって表面が堅くなったもの
074:体感温度
人が感じる暑さ寒さの感覚は、気温や風速・日射量で異なる。風の影響は風速が1m増すと気温が1℃低く感じる
075:鉄砲水
急な川や岩盤の多い沢などで一時的な豪雨による急激な増水でおきる洪水状態をいう
076:雪崩
斜面の積雪が崩れ落ちる現象。その崩れ形には種々あり大きく(1)点発生雪崩(2)面発生雪崩-に分類される
077:ブロッケン
山頂に霧があり太陽光線が水平に近い角度から指してくるときに見られる現象
078:ベルグラ
雨氷現象によって岩肌についた薄氷
山の地形
- アイスフォール
普通は氷河の中間部にあって、セラックが乱立しクレバスが多数走っている地帯
- 頭
谷や沢の源にあたる隆起、あるいは枝尾根が主脈に結合する箇所の隆起をその谷や尾根の名称を冠し何々の頭と呼ぶ
- カール(圏谷)
氷河の浸食でできた、山頂近くの半円形の窪地
- ガリー(岩溝)
岩壁や山肌に切れ込んだ細い急峻な溝
- ガレ
山の斜面が崩れ、砕石がごろごろしている地帯
- キレット
尾根筋の深い切れ込で窓のようになった地形
- クラック
指や腕、手足が入る程度の岩の割れ目
- クレバス
氷河にできる割れ目のこと
- クロアール
幅広で、浅い岩溝
- ゴーロ
岩石を敷きつめたようになっている所
- コル(鞍部)
稜線上の、馬の鞍のようにくぼんだ箇所
- ゴルジュ
両岸が岩場になっており、沢の狭まったところ
- 左岸・右岸
沢の上流から下流をみて、左岸右岸という。したがって登りながらは左手側は右岸、右手側は左岸にになる
- ザレ
山腹の崩壊地
- スラブ
一枚岩。一般的には凸凹が小さくなめらかな岩場を指す
- 出合い
二つ以上の沢が合流するところ。二つの沢の場合は二股、三つの場合は三俣などと呼ぶ
- 二重山稜
山稜線が二本平行して並び、稜線が二つに割れた形を示す山稜をいう
- バットレス
岩壁を支える形でのびている、いくつかの岩稜を指す
- モレーン(堆石)
氷河の末端に運ばれて積み重なった岩石の小山
- 雪形
山の残雪をいろいろな形象に見立て、山麓の人たちがその雪の解けかたで農作業の時期などを決めた農民の知恵。馬、牛、鳥、人間など様々な名前が付けられている
- 雪庇
稜線の風下に張り出した雪のひさし
- リッジ
岩稜のこと
- ルンゼ
急峻な岩溝。積雪期には点発生の雪崩がおきやすい場所でもある