KIKIさん、南アルプスへの思い

山で過ごした時間切り取る

KIKI(キキ)さん 東京都出身。モデル、女優。武蔵野美術大造形学部建築学科卒。写真展「PRISMA」シリーズを展開するほか、月刊文芸誌「小説幻冬」(幻冬舎)で書評を連載している。著書に「美しい山を旅して」(平凡社)、「山が大好きになる練習帳」(雷鳥社)、「山・音・色」(山と渓谷社)などがある。

KIKI(キキ)さん 東京都出身。モデル、女優。武蔵野美術大造形学部建築学科卒。写真展「PRISMA」シリーズを展開するほか、月刊文芸誌「小説幻冬」(幻冬舎)で書評を連載している。著書に「美しい山を旅して」(平凡社)、「山が大好きになる練習帳」(雷鳥社)、「山・音・色」(山と渓谷社)などがある。

 「南アルプスは、生活圏から近く思えるのに、いざ行こうとすると奥深く遠い山々。敷居が高いと思っている人も多いと思うが、登りやすい山もある。さまざまな表情を持っている」。国内外で豊富な登山経験があるKIKIさんにとって、南アルプスはそんなイメージがある場所だ。

 2006年、友人に誘われて八ケ岳の赤岳に登ったのが本格的な登山を始めたきっかけ。初めは山で見る風景の美しさにひかれたが、次第に仲間と一緒に過ごす濃密な時間、感動を共有できる心地よさにとりつかれた。モデルと女優の仕事の傍ら、登山を繰り返し、山での風景を写真に収めるようになった。

 登山道の石仏、岩に置かれたリュックサックと靴、これから飲もうとしている入れたてのコーヒー…。展示作品は山そのものを写したいわゆる山岳写真ではなく、自身が山で過ごした時間を切り取ったワンシーンだ。

 「自分と仲間が山で過ごした時間を目に見える形にしたら、写真になった。その時間は山では普通に得ているが、そこに行かないと体験できないもの。写真のコーヒーはインスタントで、街で出されても魅力を感じないだろうが、山で飲むとすごくおいしい。そこにありがたさがあり、そのおいしさを写真に撮っている。山の中にある石仏やほこらも意味があると思うし、ただ通り過ぎず、気付けたらいいなと思う」

 南アルプスで登山したのは鳳凰三山が最初。以降、甲斐駒ケ岳や夜叉神峠、仙丈ケ岳のほか、日向山や櫛形山、尾白川渓谷も訪れた。「北岳をはじめ登っていない山は多いし、尾根を北から南へ縦走する夢も果たせていない」。何度も計画を練り、今後の目標にしているという。

 「私が登った南アルプスはまだ手前だけで限られているけれど、写真を通してこんな楽しみ方、こんな見方があるんだなと感じてもらえればうれしい。それぞれの目線で、山の楽しみ方があると思うので、無理をせず、山に親しみを持って接してほしい」

 (山梨日日新聞 2019年6月15日掲載)

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