水抜いた湖で生き物観察南ア・北伊奈ケ湖で29日「生態系の大切さ学んで」
湖の水を抜いて生き物を観察しよう-。南アルプス市は29日、同市上市之瀬の北伊奈ケ湖で、改修工事に伴って水抜きが行われるのに合わせ、淡水生物観察会を開く。国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録された南アルプスの生物圏保存地域「エコパーク」の生物相への理解を深めるとともに、環境保全への意識を高めてもらおうと初めて企画した。
北伊奈ケ湖は周囲約400メートル。かつては発電用貯水池だったが、現在は周辺の農業用貯水池として利用されている。「核心」「緩衝」「移行」の3地域に分けて設定されているエコパークの対象地域のうち、教育や研修に生かす緩衝地域内にある。
水抜きは、堤の老朽化に伴う県の改修工事のため行う。水位が下がり生物観察に適していることから、市は観察会を開くことにした。
市ユネスコエコパーク推進室によると、湖にはヌマエビやドジョウ、ヨシノボリなどが生息。一方で、オオクチバス(ブラックバス)やブルーギルなどの外来種も確認されている。外来種は釣り客が意図的に放流したとみられていて、水抜きの際に駆除する計画。
観察会は山梨淡水生物研究会や県の協力を受けて開催する。事前の調査で捕獲した淡水生物を参加者に説明するほか、水位が下がった水辺での観察も行う。同室担当者は「水を抜くのはめったにない機会。生態系を維持する大切さを学んでほしい」と話している。
観察会は29日午前9時~11時半。小学4年生以上の親子が対象。参加無料で定員は70人。25日以降に申し込みを受け付ける。先着順。申し込みは同室、電話055(282)7261。
【写真】水を抜き、淡水生物の観察会が開かれる北伊奈ケ湖=南アルプス市上市之瀬
(山梨日日新聞 2018年9月22日付)