2016.9.04 News /

アヤメ群落再生進む 櫛形山 1年で3倍に 防護ネットが効果

 南アルプス市が櫛形山のアヤメを動物による食害から守るため、2007年に設置を始めた防護ネットの効果が確認できるようになった。ネット内のアヤメは今年の調査で、昨年の3倍となる約1500株の開花を確認した。市は防護ネットを設ける対象をほかの植物にも広げる方針。

 市は07年に、ナイロンとステンレスで編んだ高さ2.1メートルの防護ネットを設置。これまでに櫛形山のアヤメ平と裸山で、約7万8千平方メートルの区域を囲んだ。同区域はかつて、アヤメの群生地として知られたが、ニホンジカやイノシシなどによる食害で激減。06、07年ごろには数株しか確認できない状況だった。

 07年以降、市は裸山のフェンス内の3600平方メートルの区域でアヤメの株数の定点観測を実施。防護ネットで食害を防いだことで、アヤメは年々増え、15年は14年の倍の約500株の開花を確認していた。市みどり自然課担当者は「区画内のアヤメについては、ほぼ復活した」との見方を示している。

 防護ネットで囲った区域では、アヤメのほか、マツムシソウやタムラソウ、ヒョウタンボクなどの希少植物も確認した。

 同課は今後、防護ネットで囲む面積をさらに増やし、県が絶滅危惧種としているスルガヒョウタンボクなど、他の植物や昆虫の保護にも活用することを検討している。

 同課担当者は「防護ネットが保護活動に有効なことを確認できた。希少種の保護を本格化させたい」と話している。

 【写真】防護ネットでの保護により株数が増えているアヤメ=南アルプス・櫛形山(6月撮影)

 (山梨日日新聞 2016年9月3日付)

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