2014.8.31 News /

南アルプス林道 53日ぶり通行止め解除

 土砂崩れで通行止めになっていた、南アルプスの登山口・広河原へ通じる南アルプス市芦安芦倉の「林道南アルプス線」(夜叉神ゲート-広河原)が30日、53日ぶりに通行再開となった。地元観光業者からは安堵の声が聞かれた。ただ、客足が昨シーズンに比べて半減したという宿泊施設もあり、繁忙期の長期の通行止めは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録されたばかりの南アルプスの登山・観光に大きな影響を与えた。

 この日午前5時半の通行再開に合わせ、広河原行きのバスやタクシーが出発する南アルプス市営芦安駐車場では、多くの登山者の姿が見られた。滋賀県大津市の会社員安田栄之さん(67)は「8月上旬に登る予定だったが延期していた。県のホームページなどをチェックして通行止め解除を知って登りに来た」と話し、奈良県五條市の介護職員新郷常雄さん(47)は「別のルートで行くと1時間以上余計にかかってしまう。通行止め解除になって助かる」と喜んでいた。

 芦安地区の宿泊施設は、夏山シーズンの7、8月が書き入れ時。ところが7月初旬の通行止め以来キャンセルが相次ぎ、芦安地区の旅館業者でつくる「はたごの会」によると、宿泊客が例年の半分程度になった旅館もあるという。

 白雲荘を経営する伊東隆雅さんは「やっと開通してお客さんが戻ってくるので安心した」としながらも「夏の利用者はほとんどが登山客。前年に比べると6~7割減って大きな痛手」とこぼす。夏山シーズン終盤になっての通行止め解除に、岩園館経営の小林岩美さんは「夏は一番の稼ぎ時。夏の登山客の利用をあてにしての営業で経営が苦しい。紅葉シーズンで挽回するしかない」と話していた。

 県治山林道課によると、土砂崩れは7月8日、林道南アルプス線の夜叉神ゲートから広河原方面へ約6キロの地点で発生。落石の恐れがある土石を除去して崩落斜面を補強材(モルタル)で固め、落石防止網の設置と路面補修をした。

 【写真】広河原行きのバスに乗り込む登山客ら=南アルプス市営芦安駐車場

 (山梨日日新聞 2014年8月31日付)

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