山の日制定 県内から歓迎の声
2016年から8月11日を「山の日」と定める改正祝日法が成立した23日、名だたる高峰に囲まれた山梨県内の関係者から、歓迎の声が上がった。世界文化遺産に登録された富士山、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパーク登録が確実視される南アルプスなどの周辺自治体では「自然環境の保全を考える日に」との声。山岳観光の振興に期待感も膨らんだ。
「皆で山を愛し、大切にする日になってほしい」。八ケ岳や南アルプスなどが位置する北杜市の白倉政司市長は、「山の日」の制定を歓迎。同市観光課の担当者は「山岳景観の豊かな北杜市に大勢の人が訪れるきっかけになれば」と、山の日に合わせた関連イベントを検討する考えを示した。
富士吉田市の堀内茂市長は「山といえば、日本人の心に浮かぶのは富士山。地元としては、本当にありがたい」。世界文化遺産に登録された富士山の環境保全に向け、「国民が皆で富士山の自然の保全について考える良い機会になる」と述べた。
一方、ユネスコエコパークへの登録が確実になっている南アルプス。登録を推進している南アルプス市の中込博文市長は「人間と自然が共生するエコパークの理念を認識する日になってほしい」と期待。南アルプス市芦安山岳館の塩沢久仙館長も「山の日を契機に、山のたくさんの恵みに目を向けて」と語った。
大菩薩峠などの秩父多摩甲斐国立公園がある甲州市観光協会の保坂一久会長は「シカの食害で花が減るといった問題もある。自然環境が直面する課題に、多くの人が関心を向ける日になってほしい」と願った。
横内正明知事は同日、山の日について「県民が古里の山や森林を見つめ直し、恩恵に心を寄せてもらえるようにしていきたい」とのコメントを出した。
(山梨日日新聞 2014年5月24日付)