エコパークめざす南アルプス リニア計画で環境破壊懸念

 国立公園指定から50年となる南アルプスは「世界の宝」を目指している。国立公園を構成する山梨、長野、静岡の3県10市町村でつくる南アルプス世界自然遺産登録推進協議会は2013年、世界遺産登録の足がかりにしようと、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域(エコパーク)に申請した。その一方、リニア中央新幹線は国立公園内を通過する計画が浮上し、関係者が環境破壊を危惧している。

 エコパークは生態系の保全と持続可能な活用の両方を図るのが目的。国立公園内を核心地域として保護し、周辺の約30万ヘクタールを自然との共生を目指す緩衝地域、移行地域として申請している。ユネスコの国際諮問委員会が今年3~5月に審査し、同6月に登録の可否が決まる見通し。

 また、世界遺産登録への挑戦もあきらめていない。南アルプスは03年の国の選考会で世界遺産の候補から落選したが、同協議会は「南アルプスの価値が理解されなかった」として、専門家でつくる南アルプス総合学術検討委員会を発足。南アルプスの価値を一覧表にするなど価値選定を行っている。

 リニア中央新幹線の計画では、国立公園内をトンネルで通過することになっている。同協議会のエコパーク推進部会や同検討委は、自然環境への悪影響を懸念する意見書をJR東海に提出し、慎重な工事を求めている。

 【写真】甲斐駒ケ岳=北杜市高根町箕輪から

 (山梨日日新聞 2014年1月1日付)

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