リニア沿線 早川町内に絶滅危惧種生息 ホンドノレンコウモリ 山梨県内で42年ぶり確認

 リニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)手続きで、JR東海が早川町内のリニア建設予定地付近で絶滅危惧種のホンドノレンコウモリ1匹の生息を確認していたことが5日、分かった。山梨県によると、県内では1971年に旧上九一色村で見つかって以来、42年ぶり2例目。専門家からはリニア工事が生息環境に影響を与えないか、詳細な調査を求める声が出ている。

 県によると、ホンドノレンコウモリは本州や九州などに分布。県のレッドデータブックは絶滅危惧1A類に分類され、ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高いとされる。環境省レッドリストでは、絶滅の危険が増大している絶滅危惧2類に位置付けられている。

 JR東海は路線建設で土地造成などをする区域から600メートルの範囲で、2011~13年に生態系を調査。早川町で秋にホンドノレンコウモリ1匹を確認し、環境アセスメント準備書に記載した。

 土地造成の可能性がある範囲外で確認されたため、JR東海は準備書で「生息環境に変化は生じない」と予測。「専門家の見地も交えた予測結果」(同社)としており、コウモリを守る特別な措置を講じる予定はないという。

 一方、南アルプスの世界自然遺産登録を目指す専門家グループは5日、JR東海に生態系や景観保全などに関する意見書を提出。コウモリについて、工事が生息状況に与える影響をより詳しく調べるよう求めた。

 南アルプスで10年前からコウモリの生態を調べている佐藤顕義さん=埼玉県=は「個体数が少なく、夜行性なので確認情報も少ない。ねぐらの場所を確認するなど調査が必要だ」と話している。

 【写真】ホンドノレンコウモリ(佐藤顕義さん提供)

 (山梨日日新聞 2013年11月6日付)

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