南アルプス エコパーク委、リニアで要望へ 環境観測態勢 再検討を

 南アルプスの国連教育科学文化機関(ユネスコ)生物圏保存地域(エコパーク)登録で、地元自治体が設置した専門家委員会は5日、JR東海がまとめたリニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)準備書に対する意見書を提出する。リニア建設に伴う南アルプスでのトンネル工事で、地下水の水位や水質が変化する可能性があるとし、周辺環境の保全に向け観測態勢の再検討を求める。

 地元関係者によると、意見書では、地下水などについてモニタリング項目の再検討を要望。リニア建設に伴う残土置き場として示された静岡県内の伝付峠北方の緩やかな傾斜地については「平らな土地が隆起した地形で、南アルプスの形成の歴史を示す貴重なエリアだ」と主張し、残土置き場の設置に反対している。

 リニア工事で建設する道路や残土置き場、作業員宿舎についてはユネスコエコパークの理念と調和が取れるよう、工事後は植物園やビジターセンターなど教育、研修の場として利用できるように要望する。

 一方、山梨、長野、静岡3県の10市町村でつくる南アルプス世界自然遺産登録推進協議会の南アルプス総合学術検討委員会も、5日に意見書を提出する見通し。

(山梨日日新聞 2013年11月2日付)

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