芦安山岳館 染色家・古屋絵菜さん企画展 いつもと違う「山」へ

「山は自然に対する畏怖や崇高さが美しさになっている」と話す古屋絵菜さん=南アルプス・芦安山岳館

 甲州市の染色家古屋絵菜さん(39)の企画展「古屋絵菜 山山.-san san.-」(南アルプス市、山梨日日新聞社、山梨放送主催)が、同市芦安芦倉の市芦安山岳館で開かれている。古屋さんが南アルプスの山々や高山植物などをろうけつ染めで描いた作品など27点が並ぶ。市の担当者は「従来とは異なった視点で自然を楽しんでほしい」と話している。

 南アルプスが国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパークに登録されて6月で10周年を迎えた。自然を学ぶとともに文化的に持続可能な発展を目指す取り組みとして、伝統工芸「ろうけつ染め」で描いた作品から南アルプスを感じてもらおうと企画した。「古屋さんの作品は繊細さや柔らかさがある。写真とは異なった表現方法に、新たな視点で山の魅力を楽しめる」(市担当者)という。
 企画展では、北岳や甲斐駒ケ岳のほか、シナノキンバイやハクサンイチゲなどの高山植物を描いた作品を展示。天井からつるすことで「揺れ」や「透け感」を出して自然の立体的な空間を表現する作品や、古屋さんが制作に使用したはけや筆なども並ぶ。
 市の担当者は「作品の表現を通じて山や植物を見ることで、自然の美しさを再認識できると思う。立体的な空間を生かした展示もあるので、山に入ったような感覚を味わえるのが魅力だ」と話している。
 企画展は来年3月11日まで。入館料は大人(中学生以上)500円、子ども(小学生)250円。午前9時~午後5時。8月31日までは無休。9月以降は水曜日、年末年始(12月28日~1月3日)が休館。問い合わせは市芦安山岳館、電話055(288)2125。

(山梨日日新聞 2024年8月12日掲載)

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