重文の縄文土器一堂 市ふるさと文化伝承館
鋳物師屋遺跡の205点 生活映す
南アルプス市野牛島の市ふるさと文化伝承館は1月末まで、鋳物師屋遺跡(同市下市之瀬)から出土した縄文時代中期の土器や土偶など計205点を展示している。展示品は全て国の重要文化財(重文)に指定されていて、全点がそろう展示は12年ぶり。担当者は「当時の生活ぶりが想像できる貴重なものばかり」と話している。
展示されているのは、土偶キャラクター「子宝の女神 ラヴィ」として親しまれている「円錐形土偶」や、「ぴーす」の愛称が付けられている「人体文様付有孔鍔付土器」など。円錐形土偶は妊婦がおなかの赤ちゃんをいたわる様子が表現され、人体文様付有孔鍔付土器は表面に人が踊っているような姿が描かれている。展示品は1995年に重文に指定された。
このほか、長野県で採掘されたとみられる黒曜石のヤジリや鍋として煮込むときに使われた深鉢形土器などが並ぶ。中山誠二館長は「生活の様子や精神的な文化を垣間見ることができる」と説明する。
同館では2011年まで全て展示していたが、同年の東日本大震災をきっかけに展示物の間隔を空けるため入れ替えながら公開。国内外から貸し出しの依頼があったが見送り、来館者に楽しんでもらおうと、昨年11月に始まった企画展での12年ぶりの一挙公開を決めた。
中山館長は「日本を代表する土器や土偶なので、この機会にぜひ見に来てほしい」と話している。午前9時半~午後4時半。木曜休館。入館無料。
(山梨日日新聞 2024年1月20日掲載)