四川省の未踏峰に挑戦 県内チーム
10月、地元住民と交流も
県内の山岳チームが10月に、中国四川省カンゼ・チベット族自治州にそびえる標高約6千メートルの山に挑む。地元には登山の文化がないこともあり、人類未踏とされる。県と四川省が姉妹友好関係にあることを踏まえ、対象地に選んだ。登山を通じ、地元住民らとの国際交流につなげたい考え。
チームは、2021年11月に結成された「陰雷」。南アルプス市十日市場の山岳ガイド今村量紀さん(49)が隊長を担う。
計画では、今村さんをはじめとする県山岳連盟所属のメンバー数人が参加。10月17日から10日間ほどの行程で、自治州にある「カワロリ1(ワン)」と呼ばれる山(標高5992メートル)の登頂を目指す。山は「針のように険しい」(今村さん)形をし、現地では信仰の対象とされている。一方、周辺の高原では花などの植物が広く自生し、自然の豊かさも魅力という。
今村さんが数年前、中国の山に詳しい知人から今回の山を紹介された経緯があり、四川省と県のつながりも踏まえて登山を企画。チーム関係者が事前に何度か現地の村を訪れ、地元住民らに交流の意義などを説明し、山に入ることの承諾を得たという。
今回の遠征費は約1千万円で、大半がメンバーの自費。協賛企業からは、非常食やカイロの提供などを受ける。6月上旬には今村さんら先発隊が準備を兼ねて現地入りし、カワロリ1周辺で地形や植生の調査などを行う。
18日はチーム関係者が県庁を訪れ、長崎幸太郎知事に登山計画を説明。長崎知事はあいさつで「チャレンジに敬意を表する。気を付けて臨んでほしい」と話した。県はチームに対し、激励金として10万円を提供する方針。
今村さんは取材に「たくさんのトレーニングを積んできた。山岳を抱えた地域同士で、新しい国際交流の形を見いだせるのではないかと考えている」と話した。
(山梨日日新聞 2023年5月20日掲載)