北岳山荘を大規模改修 築30年超え老朽化県が2年計画環境配慮型トイレも導入
南アルプス・北岳山頂近くにある北岳山荘を管理する県は、2009年度から雨漏りなど老朽化が進んだ山荘の改修に着手する。1977年の完成以来、大規模改修は初めてで10年度の完成を予定している。環境配慮型のトイレも導入して、北岳の環境保全につなげる。
県観光資源課や南アルプス市によると、北岳山荘は07年に亡くなった建築家黒川紀章氏の設計。鉄骨2階建てで延べ床面積は約540平方メートル。150人を収容し、県から借り受けた南アルプス市が運営している。
築30年以上が経過したため壁や天井から雨漏りがひどく、風雨が激しい時には部屋の4分の1程度が水浸しになってしまうという。これまでも簡易補修をしてきたが宿泊者に迷惑が掛かるため、壁を張り替えるなど大規模修復を行うことにした。
一方、山荘内のトイレは、し尿を垂れ流す地下浸透式。登山者が普段利用する屋外のトイレは微生物にし尿を分解させるバイオ式に切り替えてあるが、夜間や悪天候時は山荘内のトイレが使われることが多い。このためバイオ式や浄化槽式、燃焼式など複数ある環境配慮型トイレのいずれかに切り替える。
09年度に設計を行い、実際の工事は2010年夏の予定。工事費は2億円程度を見込む。同課は「登山シーズン中の工事となるが、できるだけ利用を制限しないようにする」としている。黒川氏の建築デザインが変わらないよう設計にも配慮するという。
【写真】改修事業が行われることになった北岳山荘=南アルプス・北岳
(2009年2月21日付 山梨日日新聞)