2008.8.08 News / 登山 / 人物・団体 /

北米の難壁を連続制覇 甲府の佐藤裕介さん「歴史的快挙」と米誌

氷と雪、険しい岩壁の登攀(とうはん)に挑むアルパインクライマー佐藤裕介さん(28)=鶴城山岳会、甲府市=が、北米の最高峰マッキンリー(別称デナリ)の難易度の高い壁を連続して制覇する快挙を達成した。佐藤さんは「すべてのクライミングは過程」と、8月下旬にはインド・ヒマラヤのカランカ北壁へのチャレンジを計画。世界の難壁に挑み続ける。

「デナリで歴史的快挙」。5月27日、米国の登山専門誌「アルピニスト」電子版が佐藤さんと仲間2人のビッグクライミングを報じた。

佐藤さんは五月、アラスカでグレード(難易度)6を誇るデナリ・アイシスフェース(2000メートル)を登り、ランペルート(1200メートル)を下降。再びグレード6のデナリ南壁スロヴァクルート(3000メートル)を登った。アラスカでも難しい壁を、わずか8日間で連続制覇したことは快挙だった。

甲府一高山岳部で本格的に登山、クライミングを始めた。金沢工大に進学してからは「週末はほとんど山にいる状態」。一年間休学し、南米・アンデス山脈でクライミングの旅を続けたこともある。

2003年に大学を卒業して山梨に帰郷。07年正月に北アルプス穂高岳を継続登攀するとアラスカに初登攀。今年の正月には黒部横断(長野-富山)に挑み、デナリでの快挙につなげた。

危険と常に背中合わせの世界に、佐藤さんは「クライミングをしていなかったら生きている実感を得られない。充実した人生を送りたい。その手段がクライミングだっただけ」と話す。

県山岳連盟の内藤順造会長は「本気でアルパインクライミングを志す人は日本で4、5人。評価されにくい世界だが、佐藤裕介の世界というものを確立してほしい」とエールを送る。

佐藤さんのデナリでの登攀を紹介するイベントが8日午後6時半から県立文学館で開かれる。入場無料。問い合わせはエルク、電話055(222)1991、ICI石井スポーツ甲府店、電話055(221)0141

(2008年8月8日付 山梨日日新聞)

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