2021.6.01 News /

鳳凰三山の植物守れ 南ア・エコパーク

韮崎推進協 食害防止へネット

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録された南アルプス・鳳凰三山の高山植物をシカの食害から保護するため、南アルプスユネスコエコパーク韮崎市地域推進協議会は6月、植物の群生地に侵入防止ネットを設置する。市内の高山地帯で植物の保護対策に取り組むのは初めて。

 事務局を務める市によると、鳳凰三山に含まれる地蔵岳、薬師岳、観音岳には、環境省のレッドリストに登録されているリンネソウやマネキグサ、サンカヨウなどの高山植物が自生。しかし山小屋関係者の調査や報告では、2000年代からシカの食害や土砂の流出などにより、群生地がなくなっているケースも確認されているという。

 鳳凰三山での高山植物保護は「物資の輸送や人手の確保の点から負担が大きい」(市担当者)として市内では行われていなかったが、19年に南アルプス生態系を守るための環境省の事業を受託。市商工会や観光協会、森林組合など地元の団体で組織する協議会が山小屋関係者と話し合うなどして、優先的に保護する植物やシカの生息状況を確認し保護計画を策定した。

 侵入防止ネットの設置は計画に基づく保護活動の一環で、19~21日に市職員や山小屋関係者約20人が入山して実施する。長さ約300メートルの樹脂製ネットを分割し、標高2400メートル超に群生する植物の周辺に囲むように設置する。本来は20年に実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大で延期になっていた。

 来年も継続してネットを設置し、経過観察するとしている。市産業観光課の担当者は「従来からある自然環境を維持していきたい」と話している。

(山梨日日新聞 2021年6月1日掲載)

月別
年別