2020.10.16
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アヤメ保全これからも 南ア・櫛形山
市民団体など 防護柵10年、張り替え
南アルプス市は、櫛形山でシカの食害からアヤメを守る防護柵を張り替えた。柵の設置から約10年が経過する中で、柵内のアヤメの数が増えるなど効果も見られるという。市の担当者は「かつての花畑の状態が戻ってきている。保全活動を続けたい」と話している。
柵は、2010年に櫛形山の裸山で約4千平方メートルを囲むように設置した。柵内のアヤメを守っているほか、適切な管理方法を探るための研究も行っている。これまでは、高さ約2メートルのプラスチック製のネットで囲んでいたが、設置から約10年がたち、劣化して破れやすくなったことから新しくすることにした。
3日に行われた張り替え作業には、櫛形山を愛する会や韮崎高山岳部、市職員ら約70人が参加。全長約300メートルの古い柵を手分けして取り外し、ワイヤが編み込まれた新しいネットに張り替えた。
市によると、10年前の柵設置当時はシカに食べられた影響でアヤメの花がほぼ見られない状態だったが、今年は柵内で約1万3200本の花を確認した。アヤメ以外にも、マツムシソウやクガイソウなども確認できるようになり、貴重なチョウのコヒョウモンモドキの姿も見られるようになったという。
市の担当者は「柵のおかげで多様性が維持できている。花や虫が増えたところを、多くの人に見てもらいたい」と話している。
(山梨日日新聞 2020年10月16日掲載)