ライチョウの群れ復活を、中央アルプス
環境省 野生の巣に卵、ふ化促す
絶滅が危惧されているライチョウの増加に向けた環境省の会合が27日開かれ、中央アルプス(長野県)で群れの復活を目指すことを確認した。動物園などで飼育したライチョウが産んだ卵を、中央アルプスの野生の巣に戻す初の取り組みに乗り出す。
動物園など全国6施設で飼育しているライチョウの卵計8個を、中央アルプス木曽駒ケ岳周辺に1羽のみ生息するメスの卵と入れ替え、ふ化させる。また、北アルプス乗鞍岳に生息するライチョウ21羽(メス親3羽、ひな18羽想定)を木曽駒ケ岳に移す。
これらの取り組みにより、約30羽が中央アルプスに生息する見通し。計画通りに進み、繁殖が確認されれば、2020年度中にも群れの生息が復活することになる。
昨年は乗鞍岳に生息する野生のライチョウの卵6個を採取し、木曽駒ケ岳のメスの卵と入れ替えたが、ふ化したひな5羽はその後全滅した。テンやキツネなど天敵に襲われた可能性があるといい、今回は、ひなの成育過程で南アルプス北岳で実践してきたケージによる保護や天敵の捕獲に取り組む。
こうした取り組みは27日、埼玉県内で開かれた「ライチョウ保護増殖検討会」で確認した。検討会では、中央アルプスでの群れの復活を目指す第2期ライチョウ保護増殖事業実施計画の素案を了承した。
素案では現在、絶滅危惧1B類に指定されている環境省レッドリストの評価を、ワンランク改善した2類にする目標を設定。20年4月から5年間での達成を目指す。評価の改善には、絶滅地域での群れの復活や現在2千羽弱(推計)の個体数を2500羽以上に増やすことなどが条件になる。
環境省は委員からの意見を踏まえて素案を修正し、3月末までに次期計画を策定する。
(山梨日日新聞 2020年2月28日掲載)