2007.1.29 News / 環境保全 /

「エコツーリズム」全県に普及・拡大めざす 3エリアに推進協、魅力発掘やガイド育成

 山梨県は来年度、環境保全と観光振興の両立を目指す「エコツーリズム」を全県に普及・定着させるため、県内を奥秩父と八ケ岳、南アルプスの3エリアに分け、それぞれ推進協議会を設立する方針を固めた。各エリアで市町村と自然保護団体、環境教育団体、観光業者らが連携し、自然や歴史、文化を盛り込んだツアーメニューを作成、自然資源の発掘、ツアーガイドの育成にも取り組む。

 県内では2004年度に富士山北ろく地区が環境省からエコツーリズムモデル地区に選ばれており、同地区の手法を参考に取り組みを広げていく。協議会は(1)秩父多摩甲斐国立公園(2)八ケ岳中信高原国定公園(3)南アルプス国立公園-各エリアに設置。構成メンバーは連携して地域の環境保全を進め、自然や歴史、文化について理解を深めるとともに体験・学習ツアーを検討。新たな地域資源の掘り起こしも進める。設立は県が主導で行うが、軌道に乗ったところで自主運営に切り替える。3エリアに含まれない山系の関係者の参加も想定している。

 エコツーリズムの確立には、ガイドやコーディネートリーダー、語り部となる高齢者ら地域ボランティアの養成、連携が不可欠。県は態勢づくりとともに、人材育成やスキルアップにも取り組む。

 併せて地域ぐるみで環境配慮型の観光サービスの確立を進める。

 エコツーリズムは訪れた人に地域の自然や歴史、文化などを体験、学習してもらい、地域の資源を傷つけたり損なうことなく持続的に楽しんでもらう観光のあり方。

 近年ニーズが高まっている体験型観光や知的探求心を満たすツアーメニューを数多く提供することで、首都圏に近い県内のウイークポイントとされる宿泊・滞在型観光の強化、季節による集客の落ち込み解消などが期待されている。

 環境省は全国13地区をエコツーリズムモデル地区に指定している。富士北ろく地区では「富士山麓エコツーリズム推進協議会」を中心に多様なプログラムを展開。富士吉田市の「富士山登山学校ごうりき」(近藤光一代表)は今月、環境省の「第2回エコツーリズム大賞」の特別賞に選ばれた。

 県観光部は「ツアーを通して訪れた人に地域が持つ歴史や営みを知ってもらい、リピーターとして地域を守る側にもなってもらえるような取り組みにしたい」としている。

(2007年1月28日付 山梨日日新聞)

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