南アルプス林道、大規模崩落
広河原-北沢峠、復旧に数年か
台風19号の影響で、山梨県は1日、南アルプス市芦安芦倉の県営林道南アルプス線広河原-北沢峠間(約10キロ)で、大規模な土砂崩落が発生するなどし、この区間を通行止めにしたと明らかにした。復旧までに数年かかる見通し。甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳に向かう登山拠点とされる北沢峠に、山梨県側からアクセスできなくなり、観光面への影響が懸念される。
県治山林道課によると、広河原から2.3キロ北西の三好沢付近で林道脇の斜面が崩落し、約200メートル以上にわたって通行できなくなった。三好橋は幅約4メートルの路面を覆うほど大きな岩が落下するなどして損傷している。
広河原から3.4キロ北西のアサヨ沢に架かる橋も土砂にのみ込まれた。広河原から北沢峠までの約10キロで、路肩の崩落は4カ所で確認された。三好沢付近の土砂崩落場所は現在も崩落の恐れがあり、復旧に向けた調査が困難な状態。同課は「復旧には数年はかかるのではないか」との見方を示した。
一方、夜叉神峠から広河原の間でも複数箇所で土砂の流出が確認されたが、1日までにいずれも撤去され、この区間の通行は可能になった。
登山シーズン中、林道はマイカー規制が実施されており、南アルプス市企業局は広河原-北沢峠間で市営バスを運行している。昨年のマイカー規制期間中は2万5673人が利用しており、山小屋関係者の一人は「バスが林道を通行できなければ、関東方面からの登山者が減少する恐れがある」とみる。
(山梨日日新聞 2019年11月2日掲載)