「櫛形山シンポジウム」 25日に巨摩高でアヤメ群落保護もテーマ
自然環境の変化が指摘されている櫛形山(南アルプス市、増穂町)について考えようと、県内有志でつくる櫛形山自然環境保全協議会は25日午後7時から、巨摩高で「櫛形山シンポジウム」を開く。櫛形山では今夏、県林業公社がアヤメ群落の調査に乗り出し、その衰退傾向が明らかになってきている。こうした中、シンポジウムを通して櫛形山の将来像について議論する機運を高める。
公社によると、今夏の調査と約20年前に同高自然科学部が調査したデータを比較するとアヤメは株数で約60%、花数で92%減少。同協議会のメンバーで調査に携わった同公社の石原誠さんは「現段階で単純に比較して結論を出すことはできないが、減少していると言える数字」と話し、議論の必要性を訴える。
シンポジウムは、石原さんが変わりつつある櫛形山の自然について映像などを使って説明するほか、同校自然科学部が今年実施した櫛形山の植生調査の結果を報告する。人間と櫛形山との過去からのかかわりを明らかにしていこうと、地元住民を招いて「人は暮らしの中で櫛形山とどうかかわってきたか」と題した座談会を開く。
櫛形山はかつては薪山として木が切り出され、アヤメ群落がある草原も人間がかかわって形成された可能性がある。石原さんは「櫛形山での人々の営みを知ることが、人の手を入れてアヤメ群落を保護すべきかといった議論へのアプローチになる」とし、昔を知る高齢者の参加も呼び掛けている。
26日には伊奈ケ湖周辺の自然観察会もある。
問い合わせは森林科学館(石原さん)、電話055(283)5718。
(2006年11月20日付 山梨日日新聞)