芦安山岳館で森林テーマに企画展 野呂川流域の林業紹介 役割や新たな利用法も
南アルプス市芦安芦倉の市芦安山岳館で、企画展「森林(もり)とともに生きる-望ましい森林の姿をめざして」が開かれている。南アルプス国立公園内を流れる早川の支流・野呂川流域にスポットを当て、旧芦安村の基幹産業だった林業の歴史や多様な森林の姿、森林が果たすさまざまな役割についてパネルで紹介している。
江戸城の建築にも木材を供給するなど、江戸時代から実績がある旧芦安村の林業。その歴史を説明した一角では、材木運搬のために1942年に同村-奈良田間に敷設された早川森林軌道を紹介。トロッコと軌道も現存する機材から復元し、展示している。数多くの写真からは、昭和初期に最盛期を迎えた当時の林業の様子が見て取れる。
また、失われた緑が治山・砂防事業で回復した事例として、82年に野呂川流域で発生した大規模な台風災害を紹介。人が森林に手を加えるこれらの事業の重要性を知らせている。
このほか、地球温暖化防止機能や水源涵養(かんよう)機能などの働き、森林セラピー、バイオマスエネルギーなど森林利用の新しい形も提案している。
同館は「森林の歴史や役割、メカニズムを知り、これからの人と森との関係について考えてほしい」としている。
来年5月20日まで。入館料は一般200円、小学生以下100円。午前9時-午後5時。
問い合わせは同館、電話055(288)2125。
【写真】人と森林とのかかわりについて紹介している企画展=南アルプス市芦安山岳館
(2006年8月6日付 山梨日日新聞)