櫛形山のアツモリソウ 盗掘2ヵ所24株か 県や南ア署、現地調査

 南アルプス市の櫛形山で、絶滅が危惧(きぐ)されている希少高山植物のホテイアツモリソウが盗掘されたような跡が見つかった問題で、県や南アルプス署などは6日、現地調査した。盗掘跡を埋め直したような形跡があったことなどから、2カ所で計24株が盗掘された可能性が高いことが分かった。

 発見者の県自然監視員深沢信善さん(58)によると、先月28日に櫛形山の山中の2カ所で、それぞれ8株、4株が盗掘された跡を発見。今月4日にも1カ所目と同じ場所で、12株が盗掘された跡を見つけた。

 この日の現地調査には、県職員や同署員、同市職員ら約10人が参加。現場を詳しく調べた結果、株を根こそぎ掘り起こし、土で埋め直したような形跡を確認した。

 現場は自然保護区域内で、ロープも張られている遊歩道から約15メートル入った地点。県の担当者は「(盗掘であれば)出来心とはいえない非常に悪質なケース」と指摘した。

 ホテイアツモリソウは種の保存法や県の高山植物保護条例で採取が禁止されていて、県有林内で確認された今回のケースでは窃盗の疑いもある。県は同署と協議した上で、被害届の提出などの対応を検討する。深沢さんは「20年ほどかけ1株から20株にまで増えた場所だった。残念でたまらない」と話していた。

【写真】ホテイアツモリソウが盗掘されたとみられる現場=南アルプス・櫛形山

(2006年6月7日付 山梨日日新聞)

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