南アルプスの登山史を地図でたどる 芦安山岳館で6月18日から企画展 伊能図や測量機器を紹介
南アルプス市の南アルプス市芦安山岳館と国土交通省国土地理院関東地方測量部は6月18日から、同館で企画展「伊能図と南アルプスの測量・地図展-山頂への足跡100年の時空を超えて」を開く。測量機器や再現した測量やぐら、新旧の地図を展示し、南アルプスなど山岳地帯の地図作製の歴史と近代登山発展のかかわりを紹介する。また伊能忠敬が江戸時代に測量した伊能図の一部(複製)をフロア展示する。
明治維新後、国は近代国家形成のために欠かせなかった全国規模の地形図作製に着手。測量のための登山が行われるようになり、それまでの地図では空白部だった山岳地帯の詳細が明らかになっていった。大正時代以降は近代登山が盛んになり、山岳図など多くの地図が出版されるようになった。
日本で2番目の高さを誇る北岳は1904年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量で標高が決まった。昨年、その標高が3,193メートルに1メートル高く改定されたことを機に、この間の100年の歴史を振り返ろうと企画した。
同展では山地などで地図作製のために行った、辺の長さや角度などで距離を求めた三角測量の方法や、測量の基準点となった三角点の役割を知ってもらおうと、測量に用いた高さ約4メートルのやぐらを会場に組み再現。
水平角度などを測った「経緯儀」、南アルプスを中心とした測量登山の様子を記録した写真など約200点を展示する。
また、近代地図の基礎となった、伊能忠敬の測量で作製された「伊能大図」のうち、南アルプスを中心とした部分を、約5メートル四方につなげて床に広げる。
国土地理院が作製した南アルプスなどの山々の隆起が分かる最新の地図も床に展示。専用めがねをかけると3D映像のように高低差が浮き上がって見える仕組みで、新旧の地図の対比を楽しむことができる。
来年1月31日まで開催。午前9時から午後5時まで。休館日は毎週水曜日。
(2005年5月26日付 山梨日日新聞)