南アルプス観光調査、市が報告書 地域マネジメント提言 林道マイカー規制も

 南アルプス市は、南アルプス観光を軸とした観光計画調査を行い、報告書にまとめた。観光・宿泊施設の現況を踏まえ、自然保護を進めながら、観光収入で自立的な地域経営をする「地域マネジメント」の必要性を強調。南アルプス林道のマイカー規制を視野に入れた芦安地区の整備の方向性も示している。市は調査結果を参考に、市総合計画に具体的な施策を盛り込む。

 調査は、昨年4月の南アルプス市発足を機に、年間40万人が訪れる南アルプスの観光施策の在り方を探ろうと、東京都内のコンサルタントに委託し実施した。報告書は、「芦安」「夜叉神・広河原」「山岳地帯」の各エリアに分けて現状と問題点を指摘。「施設の老朽化が深刻」(南アルプス温泉ロッジ)、「利用者にとって魅力がない」(曽根平グリーン広場)など施設ごとに具体的な問題点を示した上で、再整備や新たな特色づくりを課題に挙げた。

 地域マネジメントは欧米の自然公園では一般的になっている考え方。施設運営、風景づくり、イベント運営、情報発信、特産品開発などを、市や特定非営利活動法人(NPO法人)の「芦安ファンクラブ」などが担っていくことを提案している。

 芦安地区と南アルプス市芦安山岳館の周辺を「山岳観光・リゾートの基地」、夜叉神・広河原エリアを「サブ基地」、山岳エリアを「最前線基地」と位置付け、北岳などをめざす登山者から一般の観光客までが魅力を感じられる観光地づくりを求めた。

 市が自然保護と観光振興を目的に構想している南アルプス林道のマイカー規制に関しては、将来的に同山岳館の周辺などバスへの乗り換え地点となる場所に500-700台分の駐車場を整備することを提案。温泉など既存の公共施設を生かしながら、一帯をターミナル機能を持たせたエリアとする方向性を示している。

(2004年4月28日付 山梨日日新聞)

月別
年別