北岳の池山吊り尾根ルート 遭難防止へ整備 大久保基金の会

 南アルプスでの遭難防止に向けた活動をしている「大久保基金の会」(清水准一会長)はこのほど、北岳(3,192メートル)の冬期登山ルートとして使われている「池山吊り尾根ルート」で登山道の整備をした。

 同ルートは雪崩の危険があり、使えない大樺沢ルートなどの代わりに冬期に使われているが、長年の風雪による倒木で荒れていた。倒木があると回り道をする際にルートを見失い、遭難する危険性が高くなるため、南アルプス市が同会に整備を要請した。

 同会のメンバー7人がチェーンソーやなたを手に、2日がかりで標高差約900メートルのアルキ沢橋-池山小屋間をたどり、老朽化した木製桟橋の改修や倒木の除去をしたり、ルートの目印になる赤い布を樹木に取り付けた。清水会長によると、倒木の除去は約40カ所に上ったという。

 同会は北岳で遭難死した故・大久保泰伸さんを悼み、2000年に山岳関係者が設立した「大久保基金」を運用している。山岳遭難救助や遭難防止の啓もう活動に取り組み、ことし9月には同会として初めて、北岳の登山道・御池尾根コースで木製はしごや桟橋を設置する登山道整備をしている。

【写真】登山道の倒木を取り除く「大久保基金の会」のメンバー=北岳

(2003年11月29日付 山梨日日新聞)

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