南アルプス林道、夏山シーズンは通行止め 長引く崩落復旧、観光への影響必至

 大規模崩落が相次いでいる南アルプス林道の通行止めが、少なくとも夏山シーズンいっぱいの八月末まで続く見通しになった。復旧工事に時間がかかるのが理由。県は七月から防災総点検調査を行い、新たな崩落危険個所を調べる。長期通行止めが地元の観光産業に影響を与えるのは必至で、地元の夜叉神観光協会や観光業者は早期復旧を要望している。

 県峡中地域振興局南アルプス林道課によると、大規模崩落があった四地点のうち、起点から一○・五キロ地点の路側決壊個所の復旧工事は七月末ごろまでに完了する見通し。しかし岩盤崩落や落石が発生したほかの三カ所の工事は長ければ九月までかかる。

 同振興局林務環境部の依田真一次長は「安全が確保できるまで通行止め解除はできない。現状から判断して、少なくとも八月中の通行は困難」と話している。

 防災総点検調査は約二カ月かけ、夜叉神ゲートから広河原までの間で行う。林道から約三百メートル山側の地点から土砂が崩落しているケースもあるため、林道付近だけでなく林道沿い斜面の岩盤の強度なども調べる。八月末ごろに出る調査結果(中間)に基づき洞門化の必要性などを検討する方針。

 同林道は南アルプスの登山の拠点となる広河原と、ふもとの南アルプス市芦安地区を結ぶ主要ルート。登山や行楽目的のマイカー、タクシーなどが年間(通常は十一月上旬から六月上旬までは冬季閉鎖)約二万七千台通行している。

(2003年6月19日付 山梨日日新聞)

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