2017.1.13
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いた! ミヤマシロチョウ 絶滅危惧種、南アで目視 富士山研調査、生息地シカ食害免れる
県富士山科学研究所は、南アルプス市内の南アルプス山系で、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている県の天然記念物ミヤマシロチョウの生息状況を調査した。昨年7月の2日間、目視で調べ、1日当たり27匹を確認し、卵も見つけた。同研究所は「安定した生息地を維持している」とみている。要因として、チョウが蜜を吸う植物が、険しい地形のためシカの食害を受けないで残っていることを挙げている。
同研究所によると、ミヤマシロチョウの生息地とされてきた北杜市内で絶滅が指摘されていて、県内の生息地は南アルプス山系だけになった可能性がある。国内全体をみても、ほかに生息が確認されているのは保護活動をしている長野、群馬両県境の浅間山系だけという。
南アルプス山系での調査は、同研究所が南アルプス市から委託を受けて、昨年7月18、23日に実施。両日とも同じエリアで直線的に歩きながら見つけたチョウの数を記録する「ルートセンサス方式」で調べた。
調査した北原正彦副所長によると、期間中に確認できたのは両日とも27匹。クガイソウやヒヨドリバナの花の蜜を吸う姿が見られたという。葉が幼虫の餌になるヒロハヘビノボラズには、卵が産み付けられていた。北原副所長は「卵、幼虫、蛹、成虫と、ライフサイクルを循環させながら、安定的に個体群を維持していると考えられる」と話している。
今回の調査エリアでは、チョウが花の蜜を吸う植物を数多く確認。「シカによる食害の影響を受けず、チョウが安定して蜜を吸えているとみられる」(北原副所長)という。同エリアは地形が険しく、シカの生息場所としては適さないという。
南アルプス市は、櫛形山で10年前からアヤメをシカの食害から守る防護ネットを設置。今回の調査エリアは、ネットの設置範囲ではなかったが、ネットはアヤメのほか、チョウが蜜を吸う植物の保護にも効果があるとみられている。北原副所長は「ネット設置エリアの拡大を検討するなど、チョウを保護していく努力が必要」と話している。今年の春と夏にも調査をし、分布状況について確認する。
(山梨日日新聞 2017年1月12日付)
同研究所によると、ミヤマシロチョウの生息地とされてきた北杜市内で絶滅が指摘されていて、県内の生息地は南アルプス山系だけになった可能性がある。国内全体をみても、ほかに生息が確認されているのは保護活動をしている長野、群馬両県境の浅間山系だけという。
南アルプス山系での調査は、同研究所が南アルプス市から委託を受けて、昨年7月18、23日に実施。両日とも同じエリアで直線的に歩きながら見つけたチョウの数を記録する「ルートセンサス方式」で調べた。
調査した北原正彦副所長によると、期間中に確認できたのは両日とも27匹。クガイソウやヒヨドリバナの花の蜜を吸う姿が見られたという。葉が幼虫の餌になるヒロハヘビノボラズには、卵が産み付けられていた。北原副所長は「卵、幼虫、蛹、成虫と、ライフサイクルを循環させながら、安定的に個体群を維持していると考えられる」と話している。
今回の調査エリアでは、チョウが花の蜜を吸う植物を数多く確認。「シカによる食害の影響を受けず、チョウが安定して蜜を吸えているとみられる」(北原副所長)という。同エリアは地形が険しく、シカの生息場所としては適さないという。
南アルプス市は、櫛形山で10年前からアヤメをシカの食害から守る防護ネットを設置。今回の調査エリアは、ネットの設置範囲ではなかったが、ネットはアヤメのほか、チョウが蜜を吸う植物の保護にも効果があるとみられている。北原副所長は「ネット設置エリアの拡大を検討するなど、チョウを保護していく努力が必要」と話している。今年の春と夏にも調査をし、分布状況について確認する。
(山梨日日新聞 2017年1月12日付)