南アのライチョウ保護へサポーター制世界遺産協 あす養成講座
南アルプス世界自然遺産登録推進協議会(会長・田辺信宏静岡市長)は、南アルプスに生息するニホンライチョウへの理解を広めようと、「ライチョウサポーター制度」を始める。絶滅危惧種であるライチョウの存在を周知する機会にし、生息域の確認を進める狙いがある。県内では12日にサポーターの養成講座を開く。
同制度は趣旨に賛同する人が養成講座を受講し、ライチョウに関する知識を深める。受講者にはサポーター認定証とハンドブックを贈る。登山道などでライチョウを目撃した場合は、環境省がインターネット上で運営する生物情報収集・提供システム「いきものログ」を通して報告する。
南アルプスの国連教育科学文化機関(ユネスコ)生物圏保存地域「エコパーク」登録2周年記念事業として企画。同システムの活用を通じて生息状況の把握につなげ、エコパーク内の自然環境に対する理解を広げるのが狙い。絶滅危惧種の生態に関心を持つことで「自然界への知見を広げ、地域の持続可能な発展を目指す」とするエコパークの理念を実践する。
12日には、南アルプス市地域防災交流センターで養成講座を開催。ライチョウ研究で知られる信州大の中村浩志名誉教授や、県立大の輿水達司特任教授(地質学)を講師に招く。保護活動の方針や、生息可能な自然環境などについて講義する。
実施主体は、同推進協を構成する長野、静岡両県を含めた10市町村。南アルプス市のほか、25日に静岡市の女性会館アイセル21で、26日には東京都新宿区のNOF新宿南口ビルで養成講座を開き、できるだけ多くのサポーターを養成することにしている。
ニホンライチョウは、国の特別天然記念物で、環境省などが絶滅危惧種に指定。同種を含めたライチョウ全体の生息域としては、南アルプスが世界の南限とされている。
問い合わせは南アルプス市ユネスコエコパーク推進室、電話055(282)7261。
【写真】絶滅危惧種のライチョウ=南アルプス市内(南アルプス市ユネスコエコパーク推進室提供)
(山梨日日新聞 2016年6月11日付)