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水害と復興の歴史が残る国史跡「御勅使川堤防(将棋頭・石積出)」の石積出三番堤=南アルプス市有野
木材の痕跡が残る中枠の遺構=南アルプス市有野
南アルプス市教委は、国史跡「御勅使川堤防(将棋頭・石積出)」の石積出三番堤を発掘調査し、御勅使川流域では初めて、堤防の基礎を守る「中枠」の遺構が確認された。三番堤で導入された築造技術や堤体の構造物が明らかになり、明治期の治水の歴史を伝えている。 石積出は同市有野の御勅使川扇状地の扇頂部に築かれ、水害から扇状地全体を守る役割を果たした。調査は整備基本計画に基づき、2023年に開始。堤体の先端部が1907年前後の根固めの技術が導入されていることや、堤体が礫(石)を主体に構造されていることが分かった。 堤体の基底部からは、1丈1尺4寸(3・42メートル)×8尺4寸(2・52メートル)の規格で造られた中枠の遺構4基が見つかった。中枠は木材で組んだ枠の内部を石で敷き詰めた構造物で、江戸時代の工法を用いながら、1887年以降に造られたとされる。 同地域は水害と修復が繰り返されてきたことから、三番堤では同じ堤防内でも使用される工法に時代差がある。担当の斎藤秀樹さんは「水害と復興の営みを歴史に残し、現代の防災や生活に生かしてほしい」と話している。 20日午前9時20分と同10時20分からの2回、現地見学会を開く。申し込み不要。雨天中止。
(山梨日日新聞 2025年3月19日掲載)