標高2200メートル、寂しいマナー違反 北岳トイレ チップ箱壊す 数千円盗難か

 南アルプス北岳の大樺沢ルートの二俣(標高約2200メートル)に設置している仮設トイレで、利用者から任意で徴収しているチップの箱が壊され、現金がなくなっていたことが、31日分かった。トイレを管理する北岳公衆トイレ運営委員会は、何者かがチップ箱の鍵を壊し、現金を盗んだ可能性があるとみていて「登山者の善意を踏みにじる行為」と憤慨。被害額は数千円とみられ、警察への届け出を検討している。

 県と南アルプス市でつくる同運営委によると、二俣のトイレは2基で、1999年から毎年、登山シーズンの7月中旬から10月中旬まで置き、チップ制を導入した。トイレの入り口付近にある郵便受けを改良したチップ箱(縦約30センチ、横約45センチ)には年間14万円ほどの収益があり、トイレの維持費などに充ててきた。

 トイレ周辺に山小屋などはなく、歩いて30分ほどかかる白根御池小屋のスタッフが委託を受けて管理。2週間に1回ほどのペースで回収、少なくとも常時数千円はあったという。

 24日午後、同山小屋スタッフが現場を訪れ、チップ箱が壊されているのを発見。箱の中の現金がなくなっていた。21日に確認した際は異常がなかった。

 同運営委は、鉄工所に依頼して新しいチップ箱を作り、31日に同じ場所に設置した。ある運営委メンバーは「北岳をいつまでもきれいな山にしよう、という趣旨に賛同してくれた登山者が払ってくれたお金が盗まれて残念だ」と話している。

【写真】南アルプス北岳の二俣に設置されたトイレ。入り口付近にあるチップの箱が壊され、現金がなくなっていた

(2010年9月1日付 山梨日日新聞)

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