山開き目前まだ”冬景色” 南ア残雪20年で最多 富士山6月に降雪 万全装備、安全登山呼び掛け

 夏山シーズンを告げる山開きが迫っている富士山と南アルプスは、山頂付近で依然として残雪に覆われている。北岳に向かう大樺沢ルートの標高2000~3000メートル付近は深いところで8メートルの雪があり、2900メートル地点の北岳山荘付近の登山道も雪に覆われ、通行できない状態。南アルプス市は「過去20年で一番雪が多い」と、26日の開山祭に向けて警察と連携しながら、冬山装備での登山を呼び掛けている。富士山も8合目付近で30~50センチの残雪がある。昨年の山開き(7月1日)当日、山頂登山ができない時間帯があっただけに、山小屋関係者は今月雪かきを予定していて、間に合わせたい考え。

 南アルプス市やNPO法人芦安ファンクラブによると、南アルプスは白根御池小屋から上の標高2300メートル以上に雪が残る。北岳は沢筋やくぼ地、稜線(りょうせん)上の傾斜地などで残雪が目立ち、大樺沢は大量の雪が登山道全体を覆っている。

 北岳山荘へ向かう登山ルート「トラバースルート」も残雪が多く通行できない。山荘の従業員が山荘周辺の雪かきをしているが「多過ぎて全部はできない」(同山荘)という。

 南アルプスでは6月に入ってからも降雪があり、山小屋関係者は「現在の残雪状況は5月初旬並み。例年より1カ月以上遅れている」と話す。市も「例年の2~3倍の残雪がある」(市観光商工課)とみている。

 26日の開山祭以降、大勢の登山客の入山が予想される。同クラブの清水准一事務局長は「事前に山の情報を確認するとともに、アイゼンやピッケルなどの冬山装備を用意してほしい」とアドバイスする。

 市はホームページ(HP)で各登山道の残雪状況の写真などを掲載して注意を促す考え。南アルプス署は開山祭に合わせて広河原や夜叉神の森駐車場に指導所を設け、登山客に安全登山を呼び掛ける。

 一方、富士山は8日から9日にかけて降雪を記録し、8合目付近は21日現在、登山道脇に30~50センチの残雪がある。ここ数日、気温の高い日が続き、雪解けが一気に進んでいるが、8合目より上は残雪が昨年より多い場所もあるという。

 富士山では今春以降、遭難事故が7件発生し、1人が死亡し、6人が重軽傷を負っている。富士吉田署は「今年もかなりの残雪があるので、装備を整えるなど、十分な安全対策をとって登ってほしい」と注意を促す。

 昨年は残雪が多く登山道が凍結したことなどから、山開き(7月1日)当日、8合5勺から山頂までを半日通行止めにした。今年は6月23日、県や富士吉田市などが登下山道調査をするほか、同26日には山小屋関係者が雪かきを予定、山開き当日の山頂登山を可能にしたい考え。

【写真】標高2900メートルの北岳山荘は多くの積雪がある(10日、南アルプス市提供)

(2010年6月22日付 山梨日日新聞)

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