日本一高い山は?
【図書紹介】
『山岳夜話』北尾鐐之介著 大正9年発行
『日本地理大系 別巻1 山岳篇』改造社 昭和5年発行
日本で一番高い山は、誰でも知っていると思います。ここに記するのは…ご存じの方はご存じですが、知らない人は知りません。
図書を整理しているときに、「あれっ?」と思わせる資料がありました。
時は大正9年、『山岳夜話』巻末に写真のような著者が書いた図が載っています。
著名山岳高度表の上から「新高13,678:富士12,467」とあります。
高さは、尺で表しています。何を言っているんでしょうか…?と思ったら、確かにありました。『日本地理大系 山岳篇』に「大日本主要山岳高度表」が記載されていて、「1.新高山 2.次高山・・・ 6.富士山…42.北岳(白峯)」とありました。
日本が台湾などを統治していた時代に確かに、富士山より高い日本一の山が存在しました。
『日本地理大系』の中で、小島烏水が「日本は、絶海の孤島などと呼ばれる國土である。だが、如何にこの孤島の、賑やかなることよ。孤島実は群島であって、亜細亜大陸の東岸に、南西から北島へと、弓形に横たわって…広いところは本州中部で、この辺は蛙を呑んだ蛇腹のように、膨れているが…。(中略)地理的にも、地史上からも、大陸との連続を明確にしている。帝国南端の台湾山脈にしてからが、馬来諸島の山系の一部と見なされるという・・・。」と北端の樺太山脈から台湾山脈までの一連のつながりを「日本の山岳」で考察しています。
そういう時代があったんだ…。時代によりいろいろ変わるものですね。
登山の歴史を見てもそうですが、本の中には興味深いことがいっぱい詰まっています。
お時間をつくって山岳館に読書にいらしてください。素敵な時間が過ごせると思います。