消える!?アヤメ群落 原因不明 櫛形山
株数の激減が指摘されている櫛形山(南アルプス市、増穂町)のアヤメの大群落が、例年なら見ごろを迎えている時期にもかかわらず、今シーズンはほとんど花を咲かせていないことが分かった。同市が9日、現地調査をしたところ、計3000万本のアヤメが自生するとされてきた同所で花を咲かせているアヤメは30株ほどだった。株数自体も「最盛期に比べて一割に満たない可能性もある」(市職員)とみられ、「東洋一の規模」とされてきた群落は深刻な状況だ。減少の詳しい原因は不明で市は今後、専門家に意見を聞くなどしながら対応を検討する考えだ。
群落は櫛形山のアヤメ平と山頂北側に位置する裸山に広がる。しかし、ここ数年で急激に株数が減少、昨年には花がほとんど見られなくなった、との指摘もあり、市が調査に乗り出した。
この日は、同市農林商工部の職員3人が山に登り、群落の現状を調べた。両エリアを目視で確認したところ、花を咲かせているアヤメは、アヤメ平で20株、裸山ではわずか10株。つぼみもほとんど見ることができず、例年満開を迎える今月中旬になっても花は期待できない状況という。
原因にはシカの食害が指摘されていて、調査でも両エリアでシカとみられる動物に茎や葉を食べられたり、動物が土壌を掘り返したりした痕跡が見つかった。一方でハンゴンソウやヤマドリゼンマイなどの株が増えていることも分かった。
調査に当たった市職員は「シカの食害だけで、短期間にここまで急激にアヤメが減ることは考えにくい」としていて、気象条件や土壌の変化など、さまざまな要因が絡んでいる可能性が高いとみている。
登山者からはアヤメの減少を嘆く声が多く聞かれた。毎年櫛形山を訪れているという東京都足立区の男性(68)は、裸山の状況を見ながら「年々アヤメの数が減っているようだ。少しは花を見られるかと思ったが、本当に残念」と肩を落とした。
調査を終えた同市農林商工部の穂坂二朗部長は「アヤメの激減は明らか。同所には多くの植物が自生していて、アヤメだけを保護すべきかどうなのか、という難しい面もあるが、専門家に原因や対応策について相談したい」と話した。
【写真】数年前までは一面、紫色のアヤメの群落が広がっていた裸山。今年は開花時期を迎えても花をほとんど見ることができない=南アルプス市の櫛形山
(2007年7月10日付 山梨日日新聞)
群落は櫛形山のアヤメ平と山頂北側に位置する裸山に広がる。しかし、ここ数年で急激に株数が減少、昨年には花がほとんど見られなくなった、との指摘もあり、市が調査に乗り出した。
この日は、同市農林商工部の職員3人が山に登り、群落の現状を調べた。両エリアを目視で確認したところ、花を咲かせているアヤメは、アヤメ平で20株、裸山ではわずか10株。つぼみもほとんど見ることができず、例年満開を迎える今月中旬になっても花は期待できない状況という。
原因にはシカの食害が指摘されていて、調査でも両エリアでシカとみられる動物に茎や葉を食べられたり、動物が土壌を掘り返したりした痕跡が見つかった。一方でハンゴンソウやヤマドリゼンマイなどの株が増えていることも分かった。
調査に当たった市職員は「シカの食害だけで、短期間にここまで急激にアヤメが減ることは考えにくい」としていて、気象条件や土壌の変化など、さまざまな要因が絡んでいる可能性が高いとみている。
登山者からはアヤメの減少を嘆く声が多く聞かれた。毎年櫛形山を訪れているという東京都足立区の男性(68)は、裸山の状況を見ながら「年々アヤメの数が減っているようだ。少しは花を見られるかと思ったが、本当に残念」と肩を落とした。
調査を終えた同市農林商工部の穂坂二朗部長は「アヤメの激減は明らか。同所には多くの植物が自生していて、アヤメだけを保護すべきかどうなのか、という難しい面もあるが、専門家に原因や対応策について相談したい」と話した。
【写真】数年前までは一面、紫色のアヤメの群落が広がっていた裸山。今年は開花時期を迎えても花をほとんど見ることができない=南アルプス市の櫛形山
(2007年7月10日付 山梨日日新聞)