県内登山、自粛を要請
山岳関係者が声明「感染リスク高まる」
山梨県内の山岳関係者が24日までに、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、登山などアウトドア活動の自粛を求める声明をホームページなどを通じて発表した。緊急事態宣言が山梨を含む全国に拡大された後も、多くの登山者が県内を訪れている現状を指摘。県内の山間部は都市部と比べて高齢者が多く、医療体制も脆弱だとし、ウイルスの感染が山間部で広がれば「即座に人命にかかわる緊急事態に陥ることになる」と訴えている。
声明は甲府市のアウトドアショップ「エルク」の柳沢仁社長を発起人とし、県内のアウトドアショップや山小屋経営者、野口健さんら県関係の登山家、プロトレイルランナーの山本健一さん、元ロードレーサーの今中大介さんらが賛同者として名を連ねている。
柳沢社長は緊急事態宣言が全国に拡大された後、週末に大菩薩峠や茅ケ岳などで県外ナンバーの車を多数目撃したといい、「登山者の数は例年より多いと感じた」と説明。「多くの人が登山などアウトドアを楽しむことで、感染リスクは高まると考え、声明を出すことにした」と語った。
声明では、県内山間部の高齢者比率の高さ、医療体制の脆弱性に触れ、感染拡大の危険性を指摘。さらに登山などアウトドア活動で、けがや遭難などのトラブルが発生した場合、「資源の逼迫する医療関係機関へより一層の負担を強いることになる」とも主張している。
県内での感染拡大を防ぐため、県民がアウトドア活動を控えるとともに、アウトドア活動を目的に県外から来県することの自粛を呼び掛けている。
例年、5月の大型連休中は多くの登山者が訪れることを踏まえ、柳沢社長は「一人一人が責任を持ち、慎重に行動することが必要。感染を早く終息させることが登山者にとってもプラスになる」と話している。
(山梨日日新聞 2020年4月25日掲載)