県内の山岳遭難、最多迫る
今年 準備不足、無計画目立つ
山梨県内で今年発生した山岳遭難が、過去最多のペースで推移していることが27日、県警のまとめで分かった。26日現在、遭難件数は158件、遭難者数は178人に上り、1年間の記録としていずれも過去最多だった2017年に迫っている。こうした状況を受け、県警は27日、関係者を集めた会議を開き、対策について意見交換した。県警によると、準備不足や無計画な登山が目立つといい、「安全で慎重な登山を心がけてほしい」と呼び掛けている。
県警地域課によると、今年の遭難者(26日現在)のうち30人が死亡し、負傷者は78人。遭難者の年代は40代以上が139人で全体の78.1%を占め、うち60代以上は34.8%に当たる62人だった。県外からの登山者は156人で9割近くを占めた。
遭難の原因は、滑落、転倒が各40件で最多。このほか道迷いが36件など。山系別では、南アルプス山系が66件と最も多く、秩父山系が37件と続いている。一方、登山計画書の提出は61件で、遭難件数の約4割にとどまっている。同課によると、今年は岩登り、沢登り中の事故で救助に危険を伴うケースや、道迷いや日没で身動きが取れなくなって救助を求める遭難があるという。
過去最多だった17年は1年間の遭難件数が161件、遭難者数は180人。今年の遭難件数(26日現在)は、17年の同時期を2件上回っており、遭難者数は5人多い。
県警は今年、遭難防止のため登山道に目立つテープを設置し、救助隊員の訓練を増やすなど対策を強化。動画投稿サイト「ユーチューブ」の県警公式チャンネルで注意を喚起している。
山岳遭難の防止に向け、県警は27日、昨年委嘱した「山岳遭難救助アドバイザー」や県警山岳警備安全対策隊、各署の担当者が出席して意見を交わす検討会を開いた。アドバイザーからは情報発信の強化などを求める意見が出た。
(山梨日日新聞 2019年11月28日掲載)