高山チョウ、乱獲防げ
南アルプス「山梨側も採取規制」周知
南アルプスに生息する高山チョウの乱獲を防ぐため、南アルプス市は同市芦安芦倉の夜叉神峠登山口から長野県境の北沢峠までの林道、登山道入り口でパトロールと啓発活動をスタートした。希少な動植物を保護する県条例の対象にチョウ類が追加されたことを周知し、コレクターなどによる採取を防ぐ。8月末まで実施する。
南アルプスにはクモマツマキチョウなど希少な高山チョウが生息。県が高山植物などの採取、販売を規制する「県希少野生動植物種の保護に関する条例」に1月、新たに15種が追加され、クモマツマキチョウを含むチョウ7種も規制の対象となった。条例には罰則規定もある。
市から委託を受けて活動を実施するNPO法人芦安ファンクラブ(清水准一会長)によると、これまで山梨県側の高山チョウは規制対象ではなかったため、規制されている長野県側を避けて採取目的で入山するコレクターが後を絶たなかったという。
活動は6月から開始。2日は同法人メンバー3人が林道を移動しながら、採取目的が疑われる入山者をチェックしたほか、長野県側から北沢峠を訪れた登山者やカメラマンに、山梨県側でも規制対象となったことを周知するチラシを配布し、保護を呼び掛けた。
林道南アルプス線の冬季閉鎖が終わり、多くの登山者が訪れる21日以降は、対応する人数を増やすなどして活動を強化する方針。清水会長は「これまでは採取しないよう注意しても『規制がない』と開き直られるケースもあった。県条例とマナーを守るように啓発していきたい」と話している。
(山梨日日新聞 2019年6月3日掲載)