2006.6.07 News / 登山 / 人物・団体 /

芦安鉱山歴史たどる 南アルプスで登山教室生活の跡に思いはせ

 NPO法人「芦安ファンクラブ」と南アルプス市芦安山岳館は5月末の2日間、1956年に閉山した芦安鉱山を訪れる「南アルプス・芦安登山教室」を開いた。県内外から参加した約40人は、同クラブが整備し直した鉱山跡へのルートをたどり、閉山から半世紀がたった今も残る、鉱山に生きた人々の生活の跡を見つめた。

 14年に開鉱し、最盛期の戦前には250人以上が生活したと言われる同鉱山。同クラブが「地域の歴史を掘り起こし、先人の足跡を残そう」と昨年、鉱山跡へのルートを再び開き、登山教室を企画した。

 初日は、鉱山地区に閉山まで暮らした笛吹市の日原実さんが当時の生活を振り返り、物資調達など早川町奈良田地区との交流が盛んだった様子などを語った。

 2日目は桃の木温泉近くの登山口を出発し、ドノコヤ峠を経由して鉱山跡へ。坑口や火薬庫、石積みの居住地の造成跡などを熱心に見て回った。のみ、つるはし、ランプなどの採鉱道具が落ちていたり、芦安小分校跡には崩れ落ちた屋根だけが残っていた。住居も1棟だけ姿を残していて、参加者は往年の鉱山地区に思いをはせていた。

 参加者の一人、北杜市武川町の武藤喜久大さん(67)は鉱山地区で生まれ、2歳まで過ごした。65年ぶりの帰郷に「当時の記憶はないが、生活した跡や自宅があっただろう付近も見ることができた。なかなか訪れることができない古里だが、夢がかなってうれしい」と話していた。

【写真】鉱山跡に残された火薬庫を見学する参加者=南アルプス・芦安鉱山跡

(2006年6月7日付 山梨日日新聞)

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