芦安鉱山の分校跡訪問へ 芦安小6年生学校の歩みを考察 NPOが峠道整備で支援

 約50年前に閉山した芦安鉱山の歴史を勉強している南アルプス市の芦安小の6年生が、鉱山にあった同校の分校跡への訪問を計画している。学校の歩みを知る総合的な学習の一環。鉱山に向かう峠道は荒れ果てて通行が困難なため、地元のNPO「芦安ファンクラブ」が整備して学習を支援する。

 芦安鉱山は旧芦安村のドノコヤ峠西側の山腹にあり、1914年に開鉱。6つの坑道があり、多くの銅、金などを産出した。ピーク時は鉱山地区の人口は250人を超え、同校の分校も開設された。しかし、終戦後は採算が取れなくなり、1956年に閉山し、分校も閉校となった。

 同校の6年生8人は、5年生の時から総合学習の授業で「芦安小のあゆみ」をテーマに学習。地域の高齢者からの聞き取り調査で、かつては分校があったことを知り、鉱山についても調べるようになった。

 5年生だった昨年度の3学期には、鉱山を知る高齢者が描いた地図を基に、紙粘土などで模型を製作。坑道や分校、社宅などの位置がはっきり分かってくる中で、児童から「学校の歴史を知るためにも実際に分校跡に行ってみたい」との声が上がったという。

 同校によると、峠の登山道は現在、草木に覆われて安全に歩くことができないという。模型を展示している南アルプス市芦安山岳館の仲介で、計画を知った芦安ファンクラブが趣旨に賛同。旧登山道の整備といった活動を普段から行っていることもあり、全面的に支援することになった。

 同クラブは2日にも草木を刈ったり倒木を撤去する作業に着手する。早ければ今月末にも児童が分校跡を訪問できるようにする。

 同校は今後、実際に分校に通っていた人から当時の話を聞くなどして事前学習する。三井大貴君(11)は「どんなところに分校があったのか知りたい。早く行ってみたい」と話している。

【写真】芦安小児童が製作した芦安鉱山の模型=南アルプス市芦安山岳館

(2005年9月2日付 山梨日日新聞)

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