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ライチョウ
全長約40センチの中型の鳥。キジ科。北アルプスや南アルプスの標高2200~2400メートル以上のハイマツ林帯や岩石帯に生息し、主に植物を餌にしている。羽色は夏はほぼ黄褐色だが、冬は全身が白色になる。南アルプスは生息地の南限とされる。国や県の絶滅危惧種に指定され、環境省のレッドリストで、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧1B類」に、山梨県では絶滅の可能性が極めて高い「絶滅危惧1A類」に指定されている。
氷河時代にシベリア北部、ヨーロッパが陸続きであったころ、日本に来て住みついたものといわれている。
山梨県内では古くから北岳、間岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳、鳳凰山が生息地とされる。
1955(昭和30)年、特別天然記念物となった。1960(昭和35)年林野庁及び静岡県の手によって白馬岳から富士山に、1967(昭和42)年、笹本芳明らによって北岳から金峰山に数羽を移殖し、以来13年ほど生存が確認された。
北アルプスや南アルプスでは、1980年代は約3000羽が生息していたが、2000年代には2000羽弱に減ったとされる。特に南アルプス北部の白峰三山一帯での減少が著しく、実際に目撃されたり、ふんが見つかったりするなど生息をうかがわせる「なわばり推定根拠」は、63カ所(1981年)から19カ所(2005年)に減少。
環境省によると、ライチョウの減少にはキツネやテン、カラス、チョウゲンボウ、オコジョ、ハヤブサなど天敵とされる野生生物の増加や活動範囲の広がりによる捕食、気候の変化などが影響しているとされるが、はっきりしていない。近年は北アルプスでニホンザルがヒナを捕食する様子も確認されている。
同省は2015年から南アルプスで、生後間もないライチョウの群れを約3週間にわたって24時間保護する活動を開始。日中は人が群れに付き添い、夜間はシートで覆ったケージに収容している。外敵による捕食や、体温調整がうまくできないヒナが衰弱死するのを防いでいる。
また、2017年度には北岳でキツネやテンを試験的に捕獲し、胃の内容物を調べて、ライチョウが実際に捕食されているかを確認する。ライチョウの生息数の減少と捕食の因果関係を明らかにする。