更新日:2018年08月20日
幼鳥保護、ライチョウ繁殖
北岳周辺 絶滅回避へ有効策か
 南アルプス・北岳近くで生まれた絶滅危惧種のライチョウのひなを生息地にとどめたまま、約1カ月限定で人間が外敵から守る「一時保護」を行った結果、保護が終わった後も自然の中で成長し、子どもをつくったことが19日分かった。事業を行った環境省によると、この方法での繁殖成功は初。絶滅回避に有効な可能性があるという。

 ライチョウは1980年代に国内に約3千羽いたが、現在は約1700羽に減少。巣から卵を取ってきて施設でふ化させる試みもあるが、死ぬことが多く、自然に返すことができていなかった。

 環境省信越自然環境事務所は6月、北岳近くの尾根を調査し、ひなを連れた親鳥を見つけた。足輪から、雄の親鳥は昨年、ふ化後間もなく一時保護した個体と判明した。雌は保護していない個体だった。

 一時保護は、提唱者の中村浩志・信州大名誉教授(鳥類生態学)の協力を得て、環境省が2015年度から北岳周辺で実施。悪天候のほか、テンやキツネなど外敵の襲撃で命を落とす危険性が特に高い生後約1カ月に限り、夜は縄張りの近くに置いたケージにひなと親鳥を誘導する。中には餌となる高山植物のプランターを置き、ネットを巻いて外敵から保護する。昼は外に出し、人が付き添って見守る。

 信越自然環境事務所の福田真係長は「ケージ保護の効果が証明された。生息域内での繁殖に向けた大きな成果だ」と話す。

 ニホンライチョウ 北アルプスや南アルプスなど本州中部の高山帯に生息する体長約40センチのキジ目の鳥で、国の特別天然記念物。植物の芽や種子を食べる。夏は茶褐色、冬は白に体毛が生え替わる。氷河期にユーラシア大陸から日本列島に渡り、気候が温暖になった後は高山帯にだけ定着した「氷河期の生き残り」と考えられている。外敵の増加や、植生の変化による餌の減少などが脅威だとされる。

 (山梨日日新聞 2018年8月20日付)